UCLAアンダーソンMBA卒業生インタビュー(アメリカ人/ゲーム業界)
UCLAアンダーソンMBAの卒業生でアメリカ人のデレックに、Why MBA? Why Anderson? Andersonの文化についてお話を伺いました。ぜひご参考にしていただければと思います。
まとめ:
- UCLAは土地柄現地のビジネスと深くつながっており、特にエンタメ業界のネットワーキングに強い
- UCLAはちょっとオタクっぽいところがある
- 他人の成功が自分の成功につながるということを理解している人がUCLAには多いと思う
こんにちは!
デレック(以下:D):はじめまして、一平だよね?
I:はい,よろしくお願いします。
D:よろしくお願いします!
I:インタービューの前に、今どこにいらっしゃるかお伺いしてもいいですか?
D:私は南カリフォルニアにいます!ロサンゼルスのすぐ南です。
I:そうなんですね。私も以前アーバインにいたことがあります!さて、本題です!Peetslistではビジネススクール出身者に学校の文化などについて率直な意見をお伺いしています。デレックさんはなぜビジネススクールに行こうと思ったのですか?
D:そうですね、私はUCLAアンダーソンに進学して、2020年に卒業しました。ビジネススクールの前は調査会社に勤めていて、訴訟のための株の不正を調査していたんですね。
I:そうなんですね。
D:たとえば会社の株が下がると、みんなその会社を訴えるのですが、その際に、私たちはレポートを書いて、不正を説明して、どれくらいのお金がかかるか、訴訟はどれくらいの額になるべきかを説明するんです。だから、会社を調査してデータをたくさん取るという点ではとてもクールなんですが、訴訟や弁護士のために働くのはもう嫌でしたね。それで、「もっと調査やデータの仕事をしたいけど、何か楽しいことをしたい」と思ったんです。
I:なるほど。
D:それで、前職で多くの人が、「ロースクールに行くか、MBAに行くかだ」と勧めてくれたんです。「法律が好きならロースクールに、何をしたらいいのかわからないならMBAに」と。それで、MBAに行きました。
在学中に 「訴訟の反対で一番楽しいのは何だろう?」と考えたら、「あ、エンターテイメントだ!」と。それで、それを目指したんです。テレビのビジネス、ゲームのビジネスについて知るために、いろいろなところに参加して、それを実践しました。Blizzard Games*でインターンをして、今はゲーム会社でフルタイムでデータ解析の仕事をしています。ここ、アーバインでビデオゲームを生業にしているんです。

アーバイン
I:わあ、それはかっこいいな。
D:そうなんです。ゲームやフィギュア、ゲーマー用のヘッドセットやパソコンも全部買いました (笑)
I:いいですね。
D:はい、MBAは楽しくていろいろなことをやりましたが、ゲームの世界で働きたいと思っている人たちにたくさん会うことに専念しました。彼らがどんな仕事をしているのか、ゲームについてどう考えているのか、彼らの言語を語るにはどうしたらいいのか、などを知ることができました。その後運よくインターンシップに参加することができて、仕事先の上司に好印象を与えて、ゲームの仕事に就くことができました。MBAは例えると、外国語の集中講座のようなものだと思っています。外国語を学ぶには、授業を受け、基本を学び、語彙を増やし、テストをする必要があります。集中講座だったら、外国語会話のパートナーもいますよね。ネイティブスピーカーのチューターのようなものです。これがMBAの2年生とか、その業界で働いている人たちにあたります。彼らは面接の練習を手伝ってくれますし、言語パートナーのようになってくれるんです。そして、本当のテストは、世界に出て、日常生活の中でネイティブスピーカーと話すこと。だから、私はMBAを、エンターテインメント、金融、起業など、ビジネスに関する言語を学ぶ、語学プログラムだと考えています。
I:それはとてもいい表現ですね。私の母校のLBS(ロンドンビジネススクール)は9割が留学生で、それが独自の文化を形成しています。

ロンドンビジネススクール
I:入学すると、この多国籍文化のバケツに入れられ、そんなカオスな状況で生き抜く必要があるんですね。でも、その過程で、彼らの言語の話し方や文化、すべてを学ぶことができる。強烈な体験でした。
I:では、次の質問です。あなたにとってUCLAの文化とは何でしょうか?
D:エンターテインメント業界に近いことですね。ハリウッドに隣接しているので、インターンシップでスタジオ、ユニバーサルスタジオとかに行ったり、面接を受けたりしました。UCLAが現地のビジネスに認識され、その意味で非常によくつながっていると思います。私がUCLAを選んだ理由は、いくつかあるのですが、ひとつは立地です。私は南カリフォルニアが好きです。のんびりした雰囲気があって、いかにもカリフォルニアという感じ。また、故郷に近いということもあります。それに、そこで出会った人たちとの出会いも、大きな決め手となりました。入学してきた人たちは、本当に頭がよくて、エネルギッシュな人が多いんです。でも、ちょっとオタクっぽいところもある。「今晩何してるの、飲みに行こうよ!終わったら家でボードゲームでもやろうぜ」みたいな感じで。そんな、オタク的なものを中心に生活しているところがカッコイイと思ったんです。彼らはそれを共有することをよしとしている。スーツを着て、「この仕事を終えたら起業しないと!」なんて思いたくなかったんです。

ロサンゼルス
I:もしかしたら、それは南カリフォルニアの特徴かもしれませんね。アーバインでの経験から、人々はもっと自由に自分を表現していると思いました。のんびりとしたカルチャーを感じますね。ソーカル(SoCal)の人たちがそうであるのはなぜだと思いますか?
D:そうですね、ひとつにはビーチがあると思います。ソーカルでは、ビーチは生活の一部になっています。外に出て、ビーチでのんびりするのは、もう日常生活なんですよね。人々はとても穏やかで、何かをしなければと焦ることはありません。もうひとつは、人口統計学的に見て、かなり多様性があるということです。アメリカの他の地域よりも、アジア人が多いですね。だから、アニメを見たり、ゲームをしたりして育つという、共通のアイデンティティがあるように思います。だから、特にアジア系の人々にとっては、多様であり、歓迎されるような風潮があると思います。
I:そうですね、素晴らしいですよね。ビーチが本当に懐かしいです。文化や自然、すべてに感動したのを覚えています。もう一つの質問に移りますが、私はLBSにいたとき、LBSの文化はとてもコラボレーティブだと教えられましたが、ロンドンの中心地であることと、学生の9割が国外から来るという性質上、競争心を感じることも多かったんです。なので、ぶっちゃけて皆さんの目から見て、UCLAの文化がどうなのか知りたいです。UCLAを勧めない点はなんですか、というのが正しい質問かもしれませんね。
D:なるほど、競争心に関しては、あまりなかったと思うんです。たぶん、私がエンターテインメント的なことをたくさんやっていたからかな。エンターテイメントというのは、みんなと知り合って、みんなと仲良しだと認識されることが重要なんです。もし、あなたがとてもフレンドリーで、いろいろなものが好きな人だと覚えていてくれたら、また声をかけてくれる。そういう業界であるということを、みんな理解している。そして、「僕が就職するためのベストな方法は、僕のクラスメートが良い仕事に就いていること」ってことだと思うんです。もしあなたがPlayStationで働いているなら、それは私にとって素晴らしいことです。僕はPlayStationに就職したくて、君が僕と同じポジションに応募しているかもしれない。でも、もし君が就職できたら、僕も次のラウンドに進める可能性が高くなるんです。君が会社の中からサポートしてくれるからね!だから、アンダーソンにはたくさんのグループだったり、情報共有があります。面接の練習グループとか、語学クラブとかね。エンターテイメント・クラブには面接の練習グループがあって、毎週ミーティングをする親友のような存在でした。最初の30分はケースインタビューの練習、次の30分はスマブラやろうよ」みたいな感じで。「このインターンシップには応募した?もし君がそれにぴったりなら、僕がそのポジションに就くチャンスも増えるだろうしね」なんて会話もありました。他人の成功が自分の成功につながるということを理解している人がUCLAには多いと思います。

アンダーソン・スクール・オブ・マネジメント
D:アンダーソンを勧めない人というのは...アンダーソンが超高速で成功に導いてくれると思っている人ですね。ムズムズした感じがあるなら行かない方がいいです。少し謙虚になって、リラックスして、楽しもうという気持ちがないのなら。だから、「オタクであるべき」という考え方に立ち戻るんです。ボードゲームやオタク的なものが好きであってほしい。そして、そのことを積極的に話すこと!好きな番組の話、好きなゲームの話、好きなスポーツの話。そういうのが好きなら、それを積極的に話してほしい。ここに来ていつもビジネスの話ばかりしていたら、きっとストレスで気が滅入ってしまうでしょうから。 知り合いの元軍人の中には、「この方法ですぐに大きな仕事を成し遂げるんだ」というような人がたくさんいましたが、だいぶ苦労していましたね。私の友人の一人で、今はAmazonにいますが、軍出身の方がいて、誰もが彼と一緒に働くのは無理だと思ってたそうです。 その後、僕が彼と一緒にグループワークをする機会があったときに、彼は「初めて自分のグループと仕事をしたときはひどかった」と言ってました。彼は「ここは軍隊じゃない、物事は時間内に、超高速で終わらないことを学ばなければならない」と過去の失敗を認めてたんですね。一歩下がって、もっと楽しくやらなきゃいけないんだ。だから、もしあなたが何かをやり遂げようとして、「MBAを取得して、マッキンゼーで働いて、一流の仕事を得て、自分の力で起業するんだ」と思っているなら、それは違うんじゃないかと思うんです。
I:地元の人々でさえも、時間に正確なマナーではなく、ゆったりとした文化が根底にあるのだと思います。
D:そうですね。
D:そう、いつも思うんだけど、日本からMBAに来た人たちは、スポンサーがついている人が多いから、「どうしたらいいかわからない」「やりたいというより、ただここに来なさいと言われたから来た」という印象を受けるんだよね。まあ、最終的には、みんなはいい経験をして帰ったと思うのだけれど。スポンサーがついているのに、MBAに行くことを強制されているようで、ちょっと不思議ですよね。

UCLA Andersonローゼンフェルド図書館
I:話は変わって、僕は2年間という時間で、たくさんのチャレンジをすることができました。特に、LBSのカリキュラムはとても自由で、2年目は基本的に何もしなくていいんです。その自由な時間で、自分が何をしたいのか考えることができます。これだけ門戸を開いているのだから、社費で来ていたとしても、MBAでの2年間はキャリアを見つめ直す大きなイベントだと思うんです。だから、他の会社を選んでも不思議ではないと思います。
D:そうそう。そういえば、キャップストーンコンサルティングプロジェクトみたいなのはやりました?
I:やりましたけど、任意でしたね。あなたは?
D:ああ、そうか。アンダーソンに行かない理由を挙げるなら、キャップストーン・プロジェクトです。私は個人的に嫌いでした(笑)修士論文みたいなものだから、50~100ページのエッセイみたいなものを、分析も含めて書かないといけないんです。しかも、グループ論文なんです。5人で1つの50ページの論文を書くようなもので、ほんとに最悪でした(笑)」4〜6ヶ月のプロジェクトで、副業でコンサルティングをするようなもので、その調整をするんですね。だから、4〜6ヶ月のコンサルティングプロジェクトみたいなもので、それをやって、かつ論文を書いて、プレゼンをして、しかも全部グループワークなんです。
I:そうなんですね…でも、分割することはできないんですか?それぞれ10ページずつで、みたいな。
D:できると思うでしょう、でもなんか、難しいんだよね。
I:そうなんですね…私たちはオプションだったので…
D:うん、変えてくれるといいんだけどね。私はずっと、そうなるように働きかけてきたんだけど(笑)
I:でも、その論文を書いたことで、キャリアに有利に働いたことはないですか?就職に役立ったとか?
D:うーん、それはなかったですね(笑)私が書いたのは学生の健康管理に関するものだったので。
I:なるほど、じゃあ、今やっていることとは関係ないことだったんですね。
D:うん、それとMBAでは論文の書き方なんて教えてくれないからね...
I:だから余計に、今の仕事にとても満足していることがよくわかりました。
D:そうですね、やっぱりそれが一番苦労したことかな。何カ月も論文を書いて過ごした後、「もう終わったからいいや、もう二度と考えなくていいや」と思いましたけど、本当に二度と考えなかったです(笑 でも、全体的には、MBAのプロセスがうまくいったことに満足しています。自分にはできないと思っていた変化を起こすことができ、より楽しく、より充実した仕事ができました。
I:ありがとうございます。また話しましょう!今日は本当にありがとうございました。