
ロンドンビジネススクールMBA生インタビューバッファローさん 2021年度版
今回は、ロンドンビジネススクール卒業生でアメリカ人のバッファローさん(仮称)に、バッファローさんにとってのMBAとは、またロンドンビジネススクールの文化についてお話を伺いました。バッファローさんは元戦略コンサルタントです。似た様なバックグラウンドの方はぜひご参考にしていただければと思います。
まとめ:
- 私個人的には、MBAは本当に価値のあるものだった
- ローテーションプログラムで、ハイレベルなポジションを提供してもらえるようになりました
- MBA自体で何かを学んだというような収穫はありませんでした
- (ロンドンビジネススクールの生徒は)世界中から集まった輝かしいビジネスのトラックレコードを持ちながらも謙虚な人たち
今回のインタビューの目的を教えてください。
一平:MBAの入試は情報戦だと思います。GMATClubのようなポータル、カウンセラー、友人や上司などからたくさんの情報を集めなければならないと思うのですが、特に日本人のMBA受験生の方は、英語を話せる受験生に比べて得られる情報量が圧倒的に少ないと思っています。 このインタビューの目的は各ビジネススクールの売り込みではなく、受験生のために、転職じゃなく、起業じゃなくてMBAが彼らのキャリアにとってのベストチョイスなのか、そうだとしたらどの学校がベストチョイスなのか判断できる情報源を作りたいと思っています。
バッファロー:"私個人的には、MBAは本当に価値のあるものだった"
私の特定のキャリア目標を達成するのに役立ったので、私個人的には、MBAは本当に価値のあるものだったと思います。です。私は以前、ヘルスケアテクノロジーのコンサルティングに携わっていました。そして、自分のやっていることがあまりにも専門的になりすぎているように感じました。データを扱いすぎていたんです。でも、私はそれが好きでしたし、仕事を通じて素晴らしい基礎を築いていました。
しかし、私は自分のキャリアを加速させたいと思い、別の職務に就きたいと考えました。管理職になりたかったんです。人を統率する仕事がしたかったのです。もっと戦略的な仕事がしたかったのです。これが私の目標でした。
”ローテーションプログラムで、ハイレベルなポジションを提供してもらえるようになりました。”
実際、私は自分の仕事でかなりの能力を発揮していましたし、自分には必要なスキルがあると感じていました。MBAは空港に設置されている動くエスカレーターのようなものだと思ってください。それは、あなたが望む場所に早く連れて行ってくれるということです。
私がMBAを卒業した途端に、突然、これまでオファーされたことのないようなことをオファーされました。Amazonのリーダーシップ・ローテーションプログラムや、コンサルティング会社や他のテクノロジー企業のローテーションプログラムで、ハイレベルなポジションを提供してもらえるようになりました。
これらの機会はすべて、基本的には2年間のローテーションを経て、5年後に会社のリーダーとなる人材を発掘するためのもので、私が望んでいたのはこのようなルートでした。そして、それを提供してくれるのがMBAなのです。このような観点から、MBAは本当に価値のあるものでした。素晴らしいキャリアの機会を与えてくれたと思っています。これが私のMBAに対する見解です。
"MBA自体で何かを学んだというような収穫はありませんでした"
さて、MBAでは多くのことを学びますが、正直に言うと、MBA自体で何かを学んだというような収穫はありませんでした。MBAで学んだ知識を仕事に活かすといった様には感じていません。MBAがなくても、今のAmazonでの仕事は十分にできる思います。ただ、今の仕事に就くために、MBAのチケットが必要だったのです。
MBAでは多くのことを学べるかは、あなたのキャリアバックグラウンドによると思います。私の前職は戦略コンサルタントでした。キャリアの中で多くのトレーニングや助けを受けてきました。とても恵まれていたと思います。ですから、私にとってはMBAは新しいことをたくさん学ぶ場所ではありませんでした。
MBAから多くのことを学べる素晴らしい候補者は、特定のバックグラウンドを持っている必要があると思います。ファイナンスやコンサルティング、大企業の出身者ではなく、起業家や異業種の仕事をしてきた人がいいでしょう。お医者さんにも会ったことがあります。その人たちは、いつも私に「いろいろなことを学んでいる」と言ってくれるんです。もしあなたが、医療従事者としてMBAに来るのであれば、私よりもずっと多くのことを学ぶことができるでしょう。なぜなら、私の仕事では、すでに経済学や金融の基礎を学んでいますし、私は学部でビジネスのコースを取っていましたしね。
一平:MBAで学んだことは実際にはAmazonの今のポジションで必要無かったというのは面白いですね。ロンドンビジネススクールのカルチャーについてはどう思われますか?
バッファロー:"(ロンドンビジネススクールの生徒は)世界中から集まった輝かしいビジネスのトラックレコードを持ちながらも謙虚な人たち"
正直に言っても、世界中から集まった輝かしいビジネスのトラックレコードを持ちながらも謙虚な人たちにたくさん出会えたと思います。
私が会った人の90%は、各業界で優れた業績を納めているに関わらず、謙虚な人たちでした。これは素晴らしい組み合わせだと思います。そのような人たちは、話しかけたくなるような人たちで、威圧的ではなく、社会的な場では、特に内向的な人たちに対しても、本当に忍耐強く接してくれます。
それでも、これは90%の人々であり、10%の人々はそのような性格を持ち合わせていないという事も私は感じています。これはどこでも起こることですが...。
私は思うのですが、ロンドンビジネススクールは、世界のさまざまな場所からやってくる人々が出会うのに最適な場所だと思います。仕事上の会話だけでなく、個人的な会話や社会的な会話もできる。これはとてもパワフルなことだと思いますMBAから何を学ぶかと聞かれたら、私は教室の中よりも外で学んだことの方が多いと思います。私は教室の中で学ぶよりも、教室の外で学ぶことの方が多かったです。
一平:分かりました。LBS(ロンドンビジネススクール)生は謙虚でありながら、何かを成し遂げた人たちの集まりだと言う事ですね。でも、何と言えばいいのでしょうか?例えば、誰にロンドンビジネススクールを勧めないのか、という話はどうでしょう?
バッファロー:私からのアドバイスとしては、MBAのユースケースを本当に理解して、自分がそのユースケースの一つに当てはまるかどうかを判断し、当てはまらない場合は現実的に判断することです。
例えば、すでに確立されたキャリアを持っていて、変化や加速を求めている人がいます。これは良いケースですね。もう一つのケースは、ビジネスの経験がないので純粋に学びたいという人です。
自分のキャリアがとてもうまくいっていて、昇進の機会があると感じている人は、もしかしたらMBAは必要無いのかもしれません。他には、多くのコンサルタントが
MBAに入学し、その後戻ってコンサルティングをしているのを見ています。私は本当に疑問に思いますが、これはMBAが本当に役に立ったのでしょうか?
長期的には、私はコンサルティング会社D社の出身で、D社に戻りたいと思っていますが、今ではないと思っています。
MBAはいい休憩になると思いますよ。それでも、機会費用はとても大きいです。給料を失うだけでなく、2年間の学費生活費も払わなければなりません。つまり、かなりのコストがかかるわけです。